米国防総省は4日、宇宙産業の合理化と開発支援強化を盛り込んだ初の「国家安全保障宇宙戦略」を発表した。中国の衛星攻撃能力を念頭に置いており、中長期の対処方針を示したものだ。引き続き、宇宙空間での軍事的優位を維持、拡大することで、米本土と日本など同盟国に対する防衛力向上を図っていくのが主な狙いだ。
宇宙戦略文書は、戦略環境と戦略目標、戦略アプローチの3本柱で構成。各国による衛星運用競争が激化する中、ロッキード・マーチン社やノースロップ・グラマン社など米宇宙・軍事産業のテコ入れにより、米国の宇宙開発能力を向上させていく-などとしている。
間接的な表現だが、文書が特に強調しているのが、宇宙空間における対中国戦略。20世紀の米ソ宇宙開発競争に代わる新たな米中の競争を念頭に置いたものだ。
ゲーツ国防長官は文書の発表に際し、「米国は宇宙空間で新たな課題に直面している」と強調した。これについて文書は、「仮想敵国が(ミサイル防衛計画や偵察衛星などに関する)米国の宇宙戦略の弱点を探っていること」だと指摘。直接的な言及を避ける配慮をみせながら、中国の脅威に警鐘を鳴らしている。
実際、中国は2007年1月、地上850キロにある自国の気象衛星に対し、対衛星兵器(ASAT)弾道ミサイルでの撃墜実験を成功させている。
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