オリックス7―3西武(16日・スカイマーク) T―岡田のミラクル満塁弾で、オリックスが西武に逆転勝ちした。8回、同点に追いつき、なおも2死満塁に代打で登場。8日のロッテ戦(京セラD)で左太ももを肉離れし、全治6週間と診断された手負いの体で、グラマンから中堅左へ33号グランドスラム。パの若きキングが、2年ぶりのリーグ制覇を目指すレオ特急を止めた。
T―岡田が代打にコールされると、球場は大歓声に包まれた。1点を追う8回だった。カラバイヨの中前適時打で同点に追いつき、なおも2死満塁。岡田監督からは「どこに打っても、走らんでええ」と送り出されていた。左太もも裏の肉離れ以降、初めての打席。ノーストライク2ボールからの3球目、打球はバックスクリーン左に飛び込んだ。
痛みの残る足に負担がかからないように、ゆっくりとダイヤモンドを一周。「完ぺきでした。ストライクゾーンは初球から振っていこうと思っていた。ベンチで試合を見てて、出たい気持ちとけがした自分へのいら立ちで歯がゆかった。何とか貢献できて良かった。今日は興奮して寝るのが遅くなるかも」。チーム、そして、今季最後の試合となったスカイマークに訪れたファンの期待に最高の結果で応えた。
ホームランダービー独走状態だったが、8日のロッテ戦で右翼フェンス直撃の安打を放ち、二塁を狙った際に左太もも裏を負傷した。9日の精密検査で全治6週間と診断され、今季中の復帰は絶望的だった。しかし、岡田監督は今季急成長の若き主砲を登録抹消せず、「三振かホームランでいいしな」と、代打でスタンバイさせていた。
本人もベンチの思いを意気に感じて、治療に専念。楽天戦で仙台遠征した際には肉離れした経験のある後藤に病院を紹介してもらい、手を尽くした。この日は打撃練習後に、外野で軽めのダッシュをこなしたものの万全ではなかったが、一振りにすべてをかけた。
「打つ方に関しては100%じゃないけど、練習を見てたら大丈夫やと思った。いつ代打で出そうかと思っていた。いい場面で回ってきたということ」。指揮官は満塁弾を見届けると、正田打撃コーチとハイタッチ。その後、感極まったのか、自然と目頭が熱くなり、うっすらと涙のようなものが浮かんだ。
負ければ優勝の可能性が消滅するところだったが、2年ぶりのリーグ制覇を目指す西武に勝ち越し。18日からはCS進出をかけ、日本ハムとガチンコ対決。「ここからは相手を見なくてもええわけやから」と岡田監督がほえた。T―岡田という最高の切り札で3位入りを狙う。
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