zhaohua9
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平凡な金の指輪
物語は、ビルボ・バギンズが引退して後継ぎのフロドに全財産と指輪を譲る
ところから始まる。それは飾り気のない、だが美しい金の指輪で、はめた者を
見えなくするのである。しかしフロドの後見者の魔法使いガンダルフは、その
指輪こそ冥王サウロンが中つ国の世界を統べるために作った“一つの指輪”だ、
とつきとめる。フロドがガンダルフに見せようと指輪を取り出すと、それは
「突然、すごく重く」[1巻89]感じられ、火の熱によって、隠された火文字が
指輪の上に現れる。
一つの指輪は、すべてを統べ、一つの指輪は、すべてを見つけ、
一つの指輪は、すべてを捕えて、くらやみのなかにつなぎとめる。
ガンダルフによると、その指輪を持つ者は、死すべき者であっても死なず、
「しまいには、永遠に姿は見えなく」なる。さらに指輪は、それをは
めたいという焼けつくような欲望で所有者を悩まし続け、ついには「指輪がそ
の者を所有するに至る」[1巻83]。火の山の深みにある“滅びの亀裂”に投げ
込む以外、誰にもその指輪を壊すことはできない。“滅びの亀裂”はその昔、
冥王サウロンが指輪を作った所である。フロドは友人たちと共に指輪を壊すた
めの探索に出発する。このような指輪は私に、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』に出てく
る宝、アウリンを思い出させる(『はてしない物語』には、『指輪物語』に出シンボル
てくるものと共通の典型的な象徴やパターンが、よりはっきりと現れているとタリスマン
思う。例えば、貴重でしかも危険な護符、それを譲ること、人間の権力への意
志、主人公の帰還など)。アウリンは人の望みを実現させる力があるが、その
代わり現実世界の記憶を奪い、持ち主はしまいに帝王になろうと望むに至る。 指輪物語
それはちょうど、“一つの指輪”を使う者が次第次第に邪悪になり以前とは違
ってしまい、ついには彼自身が冥王になろうとするのと同様である†。