zhaohua9
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1980年代に日本のアニメからスタートした本作には熱狂的なファンやオタクが世界中に山ほど居るらしく、フツウの大人は敬遠しがちだが、私はあえて本作をお奨めしたい。ロボットたちが死闘を繰り広げるグチャグチャ、滅茶苦茶さは別にして、登場人物やロボットたちの個性はそれぞれが十分に練られていてドラマとして見ても面白いのである。以下にその魅力を書いてみたい。 部族のエリア
アメリカのどこの町にも居そうな青年サム・ウィトウィッキー(シャイア・ラブーフ)とその両親(ケヴィン・ダンとジュリー・ホワイト)、ペット犬モジョが普通の生活を送っているところに善玉ロボットである「オートボット」たちが関わって来るという構成がよい。始めにウィトウィッキー家に入って来るバンブルビーのキャラクターが実に愛嬌があり、また極めて誠実で、サムを守るという使命に命を賭けている。この家族とバンブルビーとのふれあいは時にコミカルで大いに笑える。
地球を救いに来るオートボットたちの登場の仕方がバッチリと決まっている。地球に到着するまで、そして着地してからサムに会いに行くまでの映像は丁寧に制作されていて見ごたえがあり、ワクワクドキドキ感を十分に味わえる。そして、個々のオートボットたちの映像も実に精密である。初めてサムとミカエラの前に真の姿を見せるオプティマス・プライムがトラックから変身(トランスフォーム)するシーンは、あまりの出来のよさに感動して鳥肌が立ってしまった。サムを守るバンブルビーの変身シーンも同様で、ごまかしの無い、徹底的に手を掛けた映像になっている。トランスフォーマー The Transformers AUTOBOTS 印の指輪
主人公サムを演じるシャイア・ラブーフの力の入った切れのある演技がオートボットたちとの共演に不自然さを感じさせない。実際の撮影の時には何か代わりの物を相手に演技していたのであろうが、本当にオートボットたちと話しているようである。彼は「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」(2008)ではその個性が今一つ生かされていないと感じたが、本作の「24時間一生懸命」のようなキャラクターがピッタリの俳優だ。相手役のミカエラを演じるミーガン・フォックスはハリウッドでは久々の絵に描いたようなセクシー女優で、時としてハッとするほど美しいし、不幸の影を負った女子高校生をよく演じている。オートボットの親分であるオプティマス・プライムの声を演じる声優ピーター・カレンはヒーローの声に相応しい重厚で深みのある声であり、彼がナレーションを担当しているのも効果的だ。
並行して物語に参加する暗号解読の天才女性マギー(レイチェル・テーラー)と相棒のハッカー、グレン(アンソニー・アンダーソン)の組合せも、コミカルながら重要な任務を遂行して頼もしい。全体を引き締めているのが国防長官ジョン・ケラーを演じている名優ジョン・ヴォイトである。
監督のマイケル・ベイは国防省にコネがあるらしく、通常の映画では見られない戦闘機や兵器の映像が次々に飛び出す上に、実際の軍人たちまでエキストラ出演していると言う。勧善懲悪など有り得ないこの世ではどんな大義名分のある戦争も決して許されるものではないが、最新鋭戦闘機が飛んだり、戦車がターゲットに弾を命中させたりする映像が迫力があって見ごたえがあるのは否定できない。地球上のいかなる戦争にも反対をする代わりに、映画の中でだけ「善が悪を倒す」虚構を楽しむのは大いに結構なのではないか。本作ではオートボットたちは完璧な善玉、ディセプティコンたちは徹底的な悪玉なのであり、人間の悪役は一人も出て来ない。
子供だましの映画だと決め付けずに、あらゆるジャンルの映画ファンにも見てもらいたい一作である。トランスフォーマー The Transformers DECEPTICONS 印の指輪