zhaohua9

剣と魔法による善と悪の戦い。このテーマは昔から多くの作家、そして読者を魅了し続けてきた。 部族のエリア

科学が驚くべきほどに発達した現代においてＳＦというジャンルはすでに夢物語ではなくなってきている。現に数十年前に書かれたＳＦ小説におけるロボットや月世界旅行は現実のものとなりつつある。現在書かれているＳＦ小説であっても、何十年か先にはやはり現実となってしまうかもしれない。

そういったＳＦ作品と比較すると、ファンタジー物語というのは永遠に夢のまま生き続けるであろう。どれだけ時が過ぎようとも夢物語は色あせず、すべての人間の心の安らぎとなり得る。世界には人間以外に様々な種族、生物があふれている。小人や鬼、翼の生えたライオン、美しき妖精に恐るべきドラゴン。それら全てがファンタジー＝幻想世界である。語られる不思議な世界の物語に心を素直に、目を見開き、優しく受け入れる。子供も大人も関係なく、自然に幻想の中に浸ることができる。

この「ドラゴンランス」はおそらくあまたのファンタジー小説の中でも最高傑作の部類に入る作品だと思われる。奥の深い壮大なストーリー、迫力に満ちた息も尽かせぬ展開、細部にわたって設定された世界と時代背景、魅力的なキャラクターたち。全てが一級品である。

ファンタジー文学の歴史をひもとくと、「指輪物語」は実に大きな転機だった。子供に語る優しい夢物語であったファンタジーというジャンルの中で、「指輪」は大人のための物語として届けられた。その流れは俗に「アダルトファンタジー」と呼ばれる。

「指輪」は作者トールキンが作り出した世界における壮大な物語である。彼は世界の地理、歴史、神話、言語体系、生物、暦法にいたるまでを創造した。その彼の世界の中で善と悪とが壮絶な戦いを繰り広げる物語。「指輪」は時に伝承的、哲学的でもあり、幅広い年齢層から圧倒的な支持を得て、一種の社会現象にまで発展したという。その後、この「指輪」を越えようと様々なファンタジー小説が書かれてきた。