zhaohua9
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米国フロリダ州ビスケーン湾を後にした1頭のアメリカワニが、ヨットが係留された運河を通り抜けて、マイアミ大学の構内にすみついたのは2008年夏。大学にワニが出現したのは初めてではないが、このワニほど有名になったものはいない。学長のドナ・シャレーラにちなんで、「ドナ」と女性の名前で呼ばれるようになったワニ(のちに雄であることが判明した)は、学生用パブの前庭の芝生に陣取って、日向ぼっこをすることがあった。そんなときは、ピクニックテーブルをいくつか移動することになったが、それ以上の面倒を起こすことはなかった。アメリカワニ 亜米利加鰐 Crocodylus acutus 1:1頭蓋骨レプリカ
それから数カ月たった10月1日早朝、ドナは何者かに殺された。フロリダ州法と合衆国連邦法で、アメリカワニは絶滅危惧種に指定されていて、ワニを殺すのは違法行為だ。学生も教員もみな憤慨した。1カ月後、一人の男と十代の少年が逮捕された。伝えられるところでは、ワニの頭骨欲しさの犯行だったという。
ドナの身に起きたことは、ワニ類全体の苦境を象徴しているように思う。ワニ類はクロコダイル科、ガビアル科(クロコダイル科に含める研究者もいる)、カイマン亜科を含むアリゲーター科からなり、23種が確認されている。数百万年に及ぶ地球規模の気候変動や地殻変動、予測不能な生態系の変化をくぐり抜けてきたワニたちは今、生き残りをかけて新しい問題に直面している。相手は私たち人間だ。 部族のエリア