香港の国会にあたる立法会(定数60)の民主派議員5人が29日、政府が昨年11月に発表した選挙制度改革案が不十分として集団辞職した。4月以降に予定される補欠選挙を「住民投票」と位置づけ、直接選挙の是非を問う構えだ。 議会で多数を占める親中派は、補選に対立候補を擁立しない方針を検討するなど混乱が深まっている。香港議会は、中央政府寄りの親中派37人に対し、民主派が23人を占める。このうち民主派の公民党と社会民主連線(社民連)の5議員が26日に辞職届を提出していた。民主派最大勢力の民主党(議員9人)は同調しなかった。 民主派は、親中派に有利とされる間接選挙で選ばれる政府トップの行政長官と、定員の半数が職能団体から選ばれる立法会議員の選挙制度を見直し、全面的な直接選挙の導入を求めている。 だが、中央の全国人民代表大会(全人代)は2007年、直接選挙の早期導入を否決。昨年11月に香港政府が公表し、今月下旬まで市民に意見を募っている改革案でも、直接選挙導入に向けた具体案は盛り込まれなかった。親中派は、集団辞職による補選で公費1億5千万香港ドル(約17億円)が浪費されると批判を強めている。曽蔭権・行政長官は「香港の法令に『住民投票』の規定はなく、政府として認められない」と述べている。
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