国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)の長、エドモンド・ムレット事務総長特別代表が29日、朝日新聞の単独会見に応じた。首都の港が損壊し空港も能力の限界に達するという物流上の障害で、国際社会の支援が十分に届かない現状を明らかにした。その上で日本に対し、壊滅的な打撃を受けた社会基盤復興への貢献を期待した。
現在、被災者の多くには支援物資がほとんど届いていない。ムレット氏はこのことに関して「ポルトープランスにある二つの港は地震で一部の突堤が使えない。空港も規模が小さく、深刻な物流上の問題がある」と指摘した。
地震直後は、首都の空港は朝から夕方までしか機能せず、1日に15機しか離着陸できなかった。米軍が管制業務を請け負って改善され、24時間態勢になり、1日160機までと増えた。だがそれでも「現在約1千機が、着陸許可待ち」で、ハイチに向けて飛び立てない状態だという。
ムレット氏は「橋は落ち、道路はがれきに覆われている。被災者に食糧など支援物資を安全に届けるためには、道路整備や、食糧を配る人手や車も必要だ。日本の自衛隊の施設隊には、インフラ整備に限定した任務で貢献を期待したい」と語った。
推定100万人の被災民が家を失い、キャンプ生活をする。ムレット氏は、衛生面からみても「被災者向け住宅の建設が急がれる」と訴えた。
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