上野動物園(東京都)などの園長を歴任し、国内初のパンダの人工授精に携わった増井光子(ますい・みつこ)さんが13日(日本時間)、滞在先の英国で死去した。73歳だった。葬儀は未定。 増井さんは、よこはま動物園ズーラシア(横浜市)やコウノトリの郷(さと)公園(兵庫県豊岡市)の園長。馬術が趣味で、競技大会に出場するため英国に滞在していた。11日の競技中に落馬し、病院に運ばれたという。 大阪市出身。麻布獣医科大(現麻布大)を卒業後の1959年から、獣医師として上野動物園などに勤務した。 上野動物園では、パンダの人工授精に携わった。85年、ホアンホアンとフェイフェイの間の初の赤ちゃんが誕生。2日後に死んだが、86年にトントンが生まれた。順調に育ち、新たなパンダブームを呼んだ。 東京都の多摩動物公園長に続き92年に上野動物園長に就任。麻布大教授を経て、99年からズーラシアの初代園長。コウノトリの郷公園の初代園長も務め、国の特別天然記念物コウノトリの野生復帰事業にも尽力した。2005年に初放鳥にこぎ着けた。 動物園のあり方や、動物と人間の関係について、メディアや講演を通じてたびたび語った。「動物が好きだから」など多数の著書がある。世界馬術選手権に出場したこともある。
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