滋賀県草津市で昨年11月、軽乗用車で2人を死傷させたまま逃げたとして大津地検は、加害者の女(31)を道路交通法違反(ひき逃げ)罪で起訴した。女は同容疑などで逮捕されたものの、地検はひき逃げについて、いったんは不起訴処分(容疑不十分)とし、自動車運転過失致死傷罪だけで起訴。3月、大津地裁から執行猶予付き判決(検察側控訴)を言い渡されていた。
交通事故の裁判に関し、検察側がいったん立件を見送った罪について判決後に改めて公判請求するのは異例。遺族らは不起訴になった後もひき逃げの立件を強く求めており、こうした被害者側の声を尊重する流れが背景にあるとみられる。
起訴状などによると、草津市の総三保二(そうざ・やすじ)さん(当時69歳)と妻重美さん(64)は09年11月6日夕、路側帯に進入した軽乗用車に後ろからはねられ、保二さんは死亡、重美さんも重傷を負った。運転手の女は約1.5キロ離れた勤務先までそのまま運転。知人に促されて現場に戻ったのは約1時間後で、意識を失っていた夫妻が病院に搬送されたのはそれからだった。
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この事故について、女は自動車運転過失致死傷罪のみで起訴された。一方、ひき逃げでの立件を求める遺族の陳情は続き、地検は4月以降、現場で走行実験を行うなど再捜査を開始。「血の気が引いた」という事故直後の女の供述や、フロントガラスのひびなどを精査した結果、不起訴とした判断を翻し、人をはねた認識を立証できると判断したとみられる。
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