参院選で初当選した柔道五輪金メダリスト・谷亮子氏(34)=民主・比例=に12日、柔道界から“最後通告”が突きつけられた。全日本柔道連盟の吉村和郎強化委員長(59)が、「当選したことで、現役続行は非常に厳しくなる。両立できないなら(一線から)身を引いた方がいい」と言明した。政務と2年後の2012年ロンドン五輪挑戦という「二足のワラジ宣言」をした谷氏は、不出場なら五輪挑戦が厳しくなる11月の講道館杯(20、21日・千葉)で試合復帰を目指すが、柔(やわら)の道はイバラの道と言えそうだ。
選挙では開票後に約3分で初当選を決めた谷氏だが、五輪の方は“楽勝”とはいかないようだ。この日、夕方のテレビ番組に生出演した際、初当選の感想を柔道に例えて「一本勝ちだと思う」と答えた谷氏。だが、出馬表明時に「ロンドンで金メダルを目指す」とした二足のワラジ宣言は、トーンダウン。当選後と同じく「柔道の方も続けていけるように努力はします。だけども公務はしっかりしたい」と冷静な口調だった。
主婦、政治家、柔道家の三役をこなす決意に変わりはない。だが、全柔連の強化トップで、五輪選考の最高責任者である吉村委員長には、首を横に振られた。この日、スペインでの代表合宿の視察のため成田空港から離日する際、「当選したことで現役続行は非常に厳しくなる。ケジメをつけてほしい。両立できないなら身を引いた方がいい」などと決断を迫った。
五輪5大会連続でメダルを獲得した女子48キロ級は“最激戦区”。1人しか五輪代表になれない狭き門に、9月の世界選手権(東京)で2連覇を目指す世界ランク1位・福見ら強烈ライバルがひしめく。吉村強化委員長は「若手も伸びている。今まで通りにはいかない」と改めて指摘した。
全柔連では強化指定選手である谷氏に代表合宿参加を促すが、8月中旬に北海道・釧路で、12月には都内で合宿が予定されている。谷氏も多忙な公務の合間を縫って日程調整し、対応する考えを示している。これまで出産・育児、けがで合宿不参加したことはあったが、吉村委員長は「政治は自分個人の仕事。理由にはならない。合宿に来ないで試合だけするようなら、身を引いた方がいい。アスリート代表として政治で頑張ってほしい」と突き放した。
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