築地市場(東京都中央区)の移転問題で、築地の業界団体代表ら約30人が8日、江東区豊洲への早期移転を強く求める石原慎太郎知事あての要望書を都に提出した。都は来週にも豊洲の移転用地の買収手続きを開始するかどうか最終協議する。今年度予算に盛り込まれている用地買収を年度内に実施するには、10月中に土地の鑑定などの準備作業に着手する必要がある。石原知事は一貫して豊洲移転を推進する姿勢を示している。
都庁を訪れたのは、五つの主要業界団体代表らでつくる移転賛成グループ「新市場建設推進協議会」。代表で水産卸会社会長の伊藤裕康氏は記者会見し「これ以上結論が出るのを待っていると、安全な食品を安定して届ける役目が果たせなくなる。一日も早い移転を」と訴えた。
9月都議会は、最大会派の民主などの賛成多数で、移転か改築かの結論先送りを決めた。
知事与党の自民・公明は「築地での改築は不可能」としている。
約740の水産仲卸業者が加盟する築地最大の業界団体「東京魚市場卸協同組合(東卸)」では、11月下旬に100人の総代を決める選挙がある。東卸は移転の賛否が割れており、理事や理事長選挙の前哨戦となる総代選挙でどちらのグループが過半数を得るかが注目されている。都としては、選挙戦が本格化する前に方針を示す必要がある。
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