障害者団体向け割引郵便制度をめぐって偽の証明書を発行したとして虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われ、大阪地裁で無罪とされた厚生労働省の村木厚子元局長(54)について、検察当局が控訴断念に向けて検討に入ったことが13日、分かった。大阪地検では控訴すべきだという意見が根強いが、上級庁を中心に今回の捜査手法などをめぐる検証が必要との判断に傾いているもようだ。
地検が期限の24日までに控訴しなければ、「検察の主張は客観的事実と符合しない」として無罪(求刑懲役1年6月)を言い渡した大阪地裁判決が確定。村木元局長は厚労省に局長級で復職する見通しとなる。
検察関係者によると、地検は判決前から、大阪高検と最高検に公判の経過を報告し、無罪が出た場合の控訴を視野に入れて検討。無罪となった10日以降も判決内容を精査していた。
地検では、村木元局長の共犯とされた倉沢邦夫被告(74)に対しても一部無罪判決を控訴したことから、整合性を取って控訴すべきだという意見が相次いだほか、地裁で却下された供述調書の証拠採用を高裁で求めるべきだという判断が大勢を占めていた。
しかし、判決では争点となった各証人の供述内容を物的証拠と照合。却下した供述調書についても供述内容の変遷をたどる過程で詳細に検討し、検察の構図を全面否定した。
このため検察当局は、仮に高裁で供述調書がすべて証拠採用されても、新たな物証を出せないかぎり無罪を覆すのは難しいと判断。上層部を中心に、控訴すれば検察当局に対する批判がさらに強まるという見方が広がったもようだ。
検察当局は控訴を断念した場合、郵便不正事件に関する一連の捜査について検証する方針とみられる。
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