政府は29日、2010年度から5年間の子育て支援策の方向性を定めた「子ども・子育てビジョン」を閣議決定した。認可保育所に入れない待機児童の解消を目指し、ニーズが大きい3歳未満児向けの定員を年5万人程度増やして、5年後には今より27万人多い102万人とする数値目標を掲げた。 約2万5千人いる待機児童対策では、待機児童の約8割を占める3歳未満を重視。保育所の整備に加え、小中学校の空き教室や幼稚園などを活用することで、現在は3歳未満児の4人に1人程度しか利用できない状況を、3人に1人に改善させる。3歳以上も含めた保育所全体の定員を現在の215万人から、5年後には241万人まで増やす。 働き方の多様化に伴う保育ニーズに対応するため、延長保育や休日保育の受け入れ目標もそれぞれ17万人増、5万人増とした。放課後に小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)も30万人の大幅増を目指す。 子ども手当や高校の実質無償化などの現金給付と、こうした保育などのサービス充実を「車の両輪」とし、バランスの取れた子育て支援に取り組む。目標を達成した場合、サービス提供に必要な費用は、現在より0.7兆円増える計算だ。 ビジョンは少子化社会対策基本法に基づく大綱にあたる。ワーク・ライフ・バランスの実現など4項目を政策の柱とし、若者の就労支援や子どもの貧困対策、不妊治療支援などを盛り込んだ。育児休業を取りやすい環境の整備に努める企業を国発注の入札で優遇するなど、企業の取り組みを促す仕組みも検討する。
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